校長あいさつ。


『 「鎮守の森」型人間の育成
                校長 石川 徹


 同窓会の皆様には、日頃より榛原高校の教育活動に厚い御支援をいただき、心より感謝申し上げます。着任して半年が過ぎましたが、各種団体や行事を通じて同窓生の皆様が各方面から学校を見守ってくださる姿を見て、皆様の母校愛を強く感じています。
 学校の歴史を調べようと創立百周年の時に静岡新聞と中日新聞に連載された記事を読んでいた時、石田徳行先生(昭和二六年卒)の名が目に入りました(静岡新聞「榛の木群像四六」平成一二年一一月)。石田先生は、静岡高校長、県高校長協会長、静岡市教育長などの要職を務められた方です。私は静高勤務時にお世話になりました。
 私が高校生の時、世界史の授業では担当の先生方が作成した学校オリジナルの「世界史レジュメ」という冊子が教材として用いられていました。要点のまとめに加え、関連する史料が多数掲載され、現在見てもレベルの高い内容を誇る冊子ですが、最初にこの冊子をまとめたのが石田先生だったことを教員になってから知り、教材研究の深さに驚きました。また、先生は若い頃から中国史に関する論文を多数発表するなど研究活動にも熱心で、新採三年目の世界史教員の私にとっては雲の上の存在でしたが、そんな私にいつも穏やかに接してくださり、豊かな人間性を感じる先生でもありました。
 石田先生の母校である榛高に着任したことに、何か縁を感じます。学校運営について考える時、「母校を頼むぞ」といつも言われているような気がしてなりません。頑張らねばと思います。
 先生は校長退職後、『これからの若い人たちを、いわば「鎮守の森」型の人間に育てることが、人生の先輩として大人たちの責任ではないかと、つくづく思うのである。』と述べています。(静岡新聞「窓辺」平成五年九月)多種多様な樹木が互いに助け合い、全体としていかなる風雪にも耐えうる盤石な生態系を形作っていることになぞらえ、知情意のバランスがとれた人間形成の大切さを先生は説いています。私も、榛高が「鎮守の森」型人間を育てる学校であるよう、教育活動に取り組んでいきます。同窓会の皆様の御協力をよろしくお願いいたします。